これは、すべて逆説的にとらえてください。
所々、本音もありますが、それはそれとして・・・・・・

6 霊柩車
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 人生の最後は、何と言っても
この霊柩車でなければなりません。
あの独特な形、走る祭壇。
日本独自と言いたいところですが・・・
実はその原型意匠はアメリカからの
模倣だそうです。

 この前、霊柩車工場見学に行きました。ほとんどが手作りですね。
一台一台の出来上りは、まさに走る芸術品の趣がありますよね。
 私が驚いたのは、工場の中の様子よりも、敷地に放置された廃車となった
霊柩車置き場です。いわば霊柩車の墓場! お疲れさん!合掌。
その朽ち果てた車の中で、特に目を引いた旧形の霊柩車がありました。
様式は今のと変わりません。ただし大きさが倍はあるでしょうか・・・!。デカイ!
ベースの車種は昔のベンツ。
今のと違うところは、彫刻装飾が後ろにのせた輿だけではなく
運転席、助手席のドアにもしてあり、つまりそういったドアは木製なのです。
これだけではありません。棺を乗せるところに
あの形で何名か同乗できるようになっていることにびっくりしました。
 職業柄、マイクロバス、ワンボックス型の今様の霊柩車は見たことがありますが
通常の形で、棺を含めて遺族が数名乗れるような形は初めて見ました。
そのために大きさがマイクロバスなみになっているのでしょう。
現代の物と比べて、彫刻の細かさ、装飾金具の重々しさは比べようもありません。
ベンツのエンブレムの代わりに
宝輪(五重塔などのてっぺんに付いている輪っかの重なったもの)で
心にくい演出です。これはベンツではないよ!霊柩車だよ!と言わんばかりの
細かな改造です。
 呆然と見取れていた私に、こともなげに、そこの社長が言いました。
 「欲しければあげますよ。タダで。」

 「欲しい〜っ(タダならなおさら)!!」と思ったが、もらってどうする。どこに置く。
庭に? いや入らない! 親戚の寺に! お寺に置いてどうするの?
女房の実家の車庫に? 怒られる! 当たり前である。
レストアして誰かに売りつける? 誰が買う!
そうだ!妹の亭主、Mr.ダニーがいる。奴なら喜ぶ!。
でもアトランタまで送るにはかなりかかるぞ、輸送料が。
第一今年はオリンピックだ!。
アトランタの市内を買い物か何かで乗り回されたらどうする。
(Mr.ダニーならやりかねない)
万が一、オリンピックのついでの話題で日本に放映されたら
かなりのひんしゅくを買うに違いない。オリンピックの日本選手や観光客が
それを現地で目の当たりにしたら、笑ってごまかす?。
日本にいるときよりショックは大きいぞ。その都度、親指を隠すだけで済まなく
金メダルの数にも影響する。
いや待てよ。霊柩車を見ると縁起がいいと言うタクシーの運転手もいるぞ!
それなら・・・ここまで・・・約0.5秒で考えました。・・・
「いや〜、仏様を長年運んだ、霊々しい(どんな意味?)車です。
ここで静かに余生を送らしてやりましょう。」などと
歯の浮くような返事になってしまった。(惜しいーっ。)

  これほど霊柩車に、私は日本人として、思い入れが深いのです。

 新設の火葬場には、周辺住民の意思とやらで
この宮型霊柩車の出入りを拒むところも多いと聞きます。
けれども、一度はあの形。あれに乗らないと極楽へはいけません。絶対。
火葬場内の式場を見てご覧なさい。
式場から窯までものの数十歩の距離でも
無理矢理にでも乗せているではありませんか霊車に!。


  ※このコラムは1996年に執筆したものです。


(2000年 6月14日)

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